血液・造血の障害

血液・造血器疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療および症状の経過等(薬物療法による症状の消長の他、薬物療法に伴う合併症等)、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。

血液・造血器疾患の分類は、研究者の見解によって多少異なりますが、ここで掲載する分類は、難治性貧血群(再生不良性貧血、溶血性貧血等)、出血傾向群(血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症等)、造血器腫瘍群(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)とし、このうち造血器腫瘍群(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)について掲載します。


<<血液・造血器疾患の主症状および検査成績>>

主症状としては、顔面蒼白、易疲労感、動悸、息切れ、頭痛、めまい、知覚異常、出血傾向、骨痛、関節痛等の自覚症状、発熱、黄疸、心雑音、舌の異常、感染、出血班、リンパ節種大、血栓等の他覚症状がある。

検査成績としては、血液一般検査、血液生化学検査、免疫学的検査、鉄代謝検査、骨髄穿刺、血液ガス分析、超音波検査、リンパ節生検、骨髄生検、凝固系検査、染色体分析、遺伝子分析、骨シンチグラム等がある。


造血器腫瘍群(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)の障害認定基準

1級
  • A表Ⅰ蘭に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅰ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
2級
  • A表Ⅱ蘭に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表Ⅱ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、次の(1)または(2)に該当するもの
    (1)身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
    (2)歩行や身のまわりのこととはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
3級
  • A表Ⅲ蘭に掲げる所見があり、B表Ⅲ欄に掲げる所見があるもので、かつ、次の(1)または(2)に該当するもの
    (1) 歩行や身のまわりのこととはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
    (2) 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など

 

A表

区分 臨床所見
1.発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、出血傾向、リンパ節腫張、易感染症、肝脾腫等の著しいもの
2.輸血をひんぱんに必要とするもの
3.急性転化の症状を示すもの
1.発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、出血傾向、リンパ節腫張、易感染症、肝脾腫等のあるもの
2.輸血を時々必要とするもの
3.容易に治療に反応せず、増悪をきたしやすいもの
治療に反応するが、肝脾腫を示しやすいもの


B表

区分 検査所見
1.病的細胞が出現しているもの
2.末梢血液中の赤血球が200万/μl未満のもの
3.末梢血液中の血小板数が2万/μl未満のもの
4.末梢血液中の正常顆粒球数が500/μl未満のもの
5.末梢血液中の正常リンパ球数が300/μl未満のもの
6.C反応性タンパク(CRP)の陽性のもの
7.乳酸脱水酵素(LDH)の上昇を示すもの
1.白血球数が正常化し難しいもの
2.末梢血液中の200万/μl以上300万/μl未満のもの
3.末梢血液中の血小板数が2万/μl以上5万/μl未満のもの
4.末梢血液中の正常顆粒球数が500/μl以上1,000/μl未満のもの
5.末梢血液中の正常リンパ球数が300/μl以上600/μl未満のもの
白血球が増加しているもの

 

 

 

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